民泊新法ガイドライン公表➀【住宅の定義】
平成29年12月26日に観光庁が「民泊新法」のガイドラインを公表しました。
そこで住宅宿泊事業法(民泊新法)と、国交省令、厚生省令、そしてガイドラインの内容をまとめていきます。
第1回目は、「住宅」の定義の説明です。住宅宿泊事業(いわゆる民泊)とは、旅館業法上の許可を受けた事業者以外が、宿泊料を受領して「住宅」に人を宿泊させる事業を指します。この「住宅」とはどのような設備を兼ねそろえる必要があるか(設備要件)、そしてどのような居住実態が必要か(居住要件)について法律などは定めています。
法令は、住宅に必要な設備要件について、台所、浴室、トイレ、洗面設備があれば足りるとし、アパート、マンション、一戸建を問わず多くの物件が民泊施設として使用できることを前提としています。
またガイドラインは、法令に定める居住要件の一つである「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」の解釈をかなり緩く解釈し、別荘やセカンドハウスはもちろん、現在は居住していないが年1回程度使用し将来的に居住を予定している空き家や相続した建物も民泊可能な住宅として認めています。そのため例えば、相続で取得した親の観光地の別荘マンションや当面住む予定のない都心マンションなどを民泊のために利用することも可能となり、遊休不動産を効果的に利用できることとなります。
法律 |
「住宅」とは、家屋内に台所、浴室、便所、洗面設備が設けられていること。 |
ガイドライン |
台所、浴室、便所、洗面設備は1つの建物内に全て設けら れている必要はない。例えば、浴室のない「離 れ」について、浴室のある同一敷地内の「母屋」と併せて一つの「住宅」として届け出る場合が該当する。 一つの敷地内にある複数の建物を一体的に使用する権限があり、各建物に設けられた設備がそれぞれ使用可能な状態である場合には、これら複数棟 の建物を一つの「住宅」として届け出でもよい。例えば、浴室のない「離 れ」について、浴室のある同一敷地内の「母屋」と併せて一つの「住宅」として届け出る場合が該当する。 これらの設備は、届出住宅に設けられている必要があり、例えば近隣の公衆浴場等を浴室等として代替することはできない。 台所、浴室、便所、洗面設備に関して、必ずしも設備は独立したものである必要はない。例えば、 3点ユニットバスのように、一つの設備が複数の機能(浴室、便所、洗面設備)を 有している場合であっても、それぞれの設備があるとみなされる。また、一般的に求められる機能を有していれば足りて、例えば浴室は、浴槽がない場合においてもシャワーがあればよく、便所については和式・ 洋式等は問わない。 |
法律 |
「住宅」とは、現に人の生活の本拠として使用されている家屋、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後に新たな入居者の募集が行われている家屋その他の家屋であって、人の居住の用に供されていると認められるものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものに該当するもの |
法律施行規則 |
人の居住の用に供されていると認められる家屋とは、以下のいずれかに該当するものであって、事業(人を宿泊させるもの又は人を入居させるものを除く)の用に供されていないものとする。 一 現に人の生活の本拠として使用されている家屋 二 入居者の募集が行われている家屋 三 随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋 |
ガイドライン |
現に人の生活の本拠として使用されている家屋とは、現に特定の者の生活が継続して営まれている家屋である。生活が継続して営まれているとは、短期的に当該家屋を使用する場合は該当しない。当該家屋の所在地を住民票上の住所としている者が届出をする場合には、当該家屋 が現に人の生活の本拠として使用されている家屋に該当する。 入居者の募集が行われている家屋とは、 住宅宿泊事業を行っている間、分譲(売却)又は賃貸の形態で、人の居住の用に供 するための入居者の募集が行われている家屋である。入居者の募集について、入居者の募集の意図がないことが明らかである場合(例:募集広告でわざと不利な賃貸条件を事実に反して記載している等)は、入居者の募集が行われている家屋には該当しない。 随時その所有者、賃借人又は転借人の居住 の用に供されている家屋とは、純然たる生活の本拠としては使用していないが、所有者等によって随時居住のために使用されている家屋、または既存の家屋において、その所有者等が使用の権限を有していて、少なくとも年1回以上は使用しているものの、生活の本拠としては使用していない家屋である。
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その他住宅に関するガイドラインの留意事項 |
人を宿泊させる期間以外に他の事業のために利用されているものは、法律上住宅に該当しないが、一般的に社宅、寮、保養所と称される家屋についても、名称ではなく、その使用実態に応じて「住 宅」の定義に該当するかを判断する。 高齢者や子供、障害者等の宿泊者のため、届出住宅のバリアフリー対応がなされることが望ましい。 |
注:上記ガイドラインは、よりわかりやすくするため正規の文章から若干表現と文章構成を変更しました。